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「緋那!あんたまた遅刻するよっ!」

バサッと毛布がはがれると、ひんやりした空気があたしを包んだ。

「やだっ、寒いぃ~」
「寒いじゃない!もう8時前よ?奏多君来てるんじゃない?」


あたしが奏ちゃんの名前に弱いことは、お母さんはよく知ってた。
あたしは小さく唸りながらベッドから這いずり出る。


「早く支度しなさいよ。今日は一段と冷えてるから、雪が降るかもねぇ」


寒さに堪えながら制服に袖を通しているあたしの横で、お母さんがカーテンを開けた。
窓から見るだけでも外の寒さが感じられる。

こんな寒い中、学校になんか行きたくない。それでもあたしは絶対に行く。

他でもない、奏ちゃんに会うために。