CE-LI-NE

中央のひとり、少女が唇を結び、歯軋りする。

昼、夕までの陶然とした笑みも、あの美しい声音を駆使しての祝詞もない。

ただ、

「セリぃぃぃぃぃぃヌっっっ!!」

憎悪の叫びが、赤い火の玉十数個として、発現した。

まるでそれは彼岸花の開花である。

四方八方へ飛び散った火の玉が、そこから一斉にチェーンへ変化する。

耳を空気を夜と月光をも叩かん勢いで、紅蓮連鎖がほとばしる。

その矛先を、兵士らは必死に薙いだ。

空中、手応えのない場所をただ薙ぐだけ。

そんなことで魔法が防げるのか?

一抹の不安を抱くも、掻き乱した空間で炎が散るのを見たならば、全員の気持ちが高ぶる。

〝霜刃〟の命に従えば、勝てる。

「「「おおおおっ!!」」」

士気燃やす兵らがサーベルを振るう中央で、セリーヌは一気に駆け出した。

少女は自分へ向け、四条もの爆炎を差し向けている。

破壊活動以外に、なぜそこまで『セリーヌ・ウォン・ドストロフ』を標的にするかは知れない。

が、

「ここで討ち取らせてもらうぞ!!」

少女の怨嗟に屈してやるつもりは、ない。