完成した魔法陣が、いったいどのような効果を持っているのかは知れない。

が、それをやっているのは、人を爆死させることに躊躇いのない少女である。

そして自然、少女の言う神様とは暗黒集会の輩である可能性は高い。

そんな人間の執行する魔法陣が、平和を祈ってるはずがない。

効果云々は度外視して、なにがどうあっても阻止しなければならなかった。

セリーヌは叫んだ。

「こうはしていられん! すぐに五点目へ向かうぞ!! どうせ繰るのだろう、ルイス?」

「へっへっへぇー、よぅっくよ~うくおわかりで♪」

それはもちろん、幼馴染みだから。

「ジン!!」

とさらに続けた。

昼間の調子で。

「私の部下達と手の空いている『ガーディアン』に、五点目周辺に住む民間人の避難をさせろ!」

「おいこら、俺はまた伝令かっ」

「お前しか今は頼めん!」

記憶喪失の異世界人は、頭を掻いた。

「ふん。いいだろ。だがギブアンドテイクだぞ? これはひとつ貸しだな」

きびすを返したジンが走って行くのは見送らず、振り返ったセリーヌに、ルイスが真面目な顔でうなずく。

「行こうかセリィ、だいじょぶ、君は僕が護るとも」

「その言葉、そっくり返すぞ、降魔師さま」