CE-LI-NE

「それで、あの少女が街を破壊するのはなぜだ?」

問いながら、立ち止まる。

ルイスは袖の中からなにかを引っ張り出し――

「うん、これを見てもらうとわかりやすいんだけど……ぅわっ!?」

セリーヌが鍵を解き、開いたドアの向こうに、顔をしかめた。

長い袖いっぱいで、鼻と口元を覆う。

さすがのセリーヌも倣った。

資料室が、もくもくと雲が発生したように、白い煙でいっぱいなのである。

「な、なんだこれはっ!!」

文字通り怒鳴り込むセリーヌの前に、

「おう、帰ったか、セリーヌ」

ジン・クサナギが、ぬっと現れた。その口には、それで何本目なのかしれないが、タバコがくわえられている。

ジンは腰に手を当てながら文句を垂れた。

「なんだなんだ、そんな顔をしてくれるな。この部屋に換気扇がないのが悪いんだからな? ――ン?」

と、その目が、ルイスの手でひらついている紙に留まる。

「おいそれ」

と、ジンは易々ルイスの手から紙を奪う。

両手でバッ、と広げられたのは、ライスト城下町の地図だった。