「降魔師の保護なら、『ガーディアン』の団長である君に指令が下ったのも、それが急を要すのもうなずけるよね」

「ああ。そして降魔師なら、少年の人的価値は跳ね上がる」

「そうだね。降魔師を誘拐した理由なんかひとつきりだ。目的は、魔法覚醒者の量産かな」

「十中八九、いや、十中の十、そうだな。肝心なのは、だれがそれをやろうとしているか」

角を折れて、資料室へ向かう。

窓の外はすでに日暮れを迎え、橙、鬼灯のように燃えている。

先にジンを解放してやらなくてはならない。

「そっちも調べはついてる。まだ予想の段階だけど、少年をさらったのはたぶん暗黒集会の連中さ」

「例の劇場、孤児院の地下に集まっていた輩か」

「そう。逃げ延びた連中の一角が、再起を狙って少年を強奪した」

「なるほど。その情報はどこから仕入れた?」

「捕まえた連中で一番素直そうな囚人をボコって」

へらへらしているわりに、なかなかどうして、行動派である。

こう見えてルイスの鉄拳は実は、岩のように硬いのだから。

もっともそうでなければ、自分の相棒とは呼べないし、ついて回るのも許可しないが。