城の軍施設まで戻ったセリーヌを、ルイスが待っていた。

「やあ、セリィ」

とぶかぶかの袖を挙げたルイスは、しかしまだ、あの独特の抑揚が欠けている。

初めから真面目な話か。

都合がいいと、竜を飛び降りたセリーヌは問うた。

「ルイス、そちらでわかったことを聞こうか」

「うん」

並んで歩き、軍施設の廊下を進む。

セリーヌの高い靴音と、ルイスの、床を擦る足音が混ざる。

「セリーヌはあの少女にずいぶん関心があったみたいだからね、僕はそれとは別路線で調べたよ。少年と、なんで彼女が破壊活動を行うかさ」

「それで」

「うん。少年のほうね、どうやら覚醒したての降魔師みたいだ」

「降魔師……そうか、なるほど」

降魔師はライスト人からしか覚醒しない。が、ライスト国外にも降魔師は存在する。

つまり、ライストから降魔師が流出しているのだ。

他国が血筋を強めようと出生地に骨を埋めるように、ライストは他国に降魔師が出ていくのを好ましく思わない。

そのために、降魔師の護衛団がいると言っても、間違いではない。

新しい降魔師が生まれた、覚醒したとあらば、それは国の一大事でもある。

これを保護するのは必定だった。