CE-LI-NE

「ふん、なに言ってやがんだ、お前」

と、ラグストールは挑発をあしらった。

「あの嬢ちゃんを仕留めるのは手前の仕事だ。そいつを横取り主義は、ファイアルの民にゃないんだよ。自分の獲物は自分で仕留める、そうだろ」

アイスラ民族を頭でっかちと詰る彼らだが、時おり捏ねる仁義だの、けじめだのは、妙な屁理屈だ。

とにもかくにも、また少女が逃亡した。

情報もまだ手に入れていない。

急いで追跡、あるいは捜査を続行しなければならない。

セリーヌはラグストールを無視し、ホテルのサイドで口を開けている闇へ入る。

巨大なスクエアの空間には、自動二輪や、近年開発されたばかりの、自動車と呼ばれる馬を必要としない車が並んでいる。その間に、セリーヌの小竜もいた。停車場、と呼ばれる場所。

手綱を掴み、小竜に騎乗する。あの騒動でも取り乱していない。さすがにフーガがしつけているだけはある。

「おいおい大佐さんよ、人ン話ゃ最後まで聞くもんだぜ?」

と、ついてきたラグストールが言った。

両手を適当に広げる様は、まるで商売交渉でも持ちかける風である。