爆風は、セリーヌまで届く。

腕で顔を覆っている彼女の三つ編みが、びゅうびゅうと後ろへ靡いた。

やがて、風も炎もやみ、煙が一面に広がる。

セリーヌは、静かに長剣を拾った。

(死んだ、か……)

せっかくの情報源、重要人物の末期に、セリーヌは舌打ちする。

まさか自爆とは……

「っ、く、――ぁ……か……」

「!」

と、長剣を鞘に差した時、

「見、……いで、くださ……」

濛々の世界に、力ない姿が、立った。

ゆっくりと風が踊り過ぎ、白の退場したそこに、少女はいる。

全身に、火傷を負いながら。

もともとフーガ民族らしいなまめかしく美しい容姿なので、ところどころ爛れた皮膚も、流れ出す血も、少女には強烈すぎる化粧だった。

「セリー……ウォン・ド、ト……ろフ……あた、しを……見、な……」

がくり、と倒れた少女は、手を突く。

獣のような四つん這いでしかし、瞳だけは狂気を忘れていない。

あの陶酔した声が、壊れた笑みが、震える少女を飾る。

「そ、な目で……あた、……を、見ないで、く……さい……あ、たしを……!!」

その傍らに、またひとつの火の玉。