「ぃいいいいいいいい、やぁぁぁぁあああああああああああ――――!!」

突然だった。

瞳孔まで見開いた少女が、炎を誤って体内に発現させたかのように、悲鳴をあげた。

えび反りになって暴れ、半狂乱で喚き散らす。

その、八方から、炸裂音。

セリーヌは四半秒で状況を確認した。

少女の周囲に、数えきれない火の玉が浮かんでいる。

すべてがすでに連鎖を起こし、渦潮のように矛先を、径を縮めている。

その集中点は、無論、『ここ』だった。

自分をも爆発に巻き込むつもりだろうか。

ざっと見て、縛炎の鎖の数は十を下らない。

これだけの威力が集約すれば、いくらハーフの炎といえど人間を焼き払える。

ましてや中央に集えば、火力、そして少女の操る水素、酸素が濃縮される。

結果として、ひとつの大爆発が起こる計算である。

「ちっ!!」

先ほどの実証でわかった。

炎の鎖そのものを断つことはできずとも、進行方向を掻き乱すことで気体の道しるべを無効化することはできる。

しかし――剣がない。今の一手に賭けすぎた。

あったとしても、数十となる道しるべを掻き乱すことはできない。