あたしは、地獄にいました。

蔑まれ、辱しめられるばかりの地獄にいました。

あたしの涙は嘲笑者に満足感を与え、

あたしの悲鳴は加虐者の恍惚感を満たし、

あたしの苦しみは支配者の優越感を高めました。

地獄だったのです。

あたしの頭の中で次々に、なにかが破損欠損していくのを感じました。

そして、その時は来ました。

神様のいないこの世界で、けれど、あたしの神様はいらっしゃってくださいました。

神様の使いというあの方は、あたしに魔法を授けてくださいました。

「こんなところから抜け出したいか?」

あたしは――

「もうこんなところは嫌か?」

その方の質問――

「ここを出るためならばなんでもできるか?」

すべてに――

「私の言うことに背いてはいけないよ?」

何度も何度も、頷きました。

そしてあたしは、選ばれ、あの地獄から、抜け出しました。

なのに――





「答えろ、私は忙しいんだ。なぜ少年をさらった、なぜ街を破壊する、お前の言う神様とはだれだ」





目の前に、また、あたしを凌辱する者の姿が。

また、また、あたしは……!!

あたしは、なにかがキレる音を、耳にしました。