「いやいやぁ~、これはね、留まるところを知らない人間のターンキューウシーンというもっっのでねぇ」

ルイスは袖をぶらぶら、肩をすくめる。行儀悪くデスクに足を乗せ、セリーヌの右手側を指す。

「ほーぅらあれ、僕がみぃ~んな引っ張り出してあーげたんだぞー? 人気者なセリーヌっ! そしてなんて気の回る僕っ!!」

握り拳を掲げるルイスが言うのは、部屋の隅で小山になっているガラクタだろう。

ガスバーナーやスタンガン、タライ、ヤカン、ボクシンググローブが取り付けられた槍に、びよんびよんとバネを弾ませているびっくり箱。

セリーヌはこめかみに指を当て、揉んだ。首を振る。三つ編みが合わせて揺れた。

「ルイス……トラップを解除してくれるのはありがたい……が、もう少し穏便にできんか?」

デスクへ歩くまでに、なにかを踏んだ。ぶにりと柔らかい。

「いやいやっ、セリィ、僕ひとりの仕業ではなーいのだよん?」

見下ろして絶句。ネズミの死体が転がっていた。

「助手のジョセフィーヌがどうしても手伝うってついてきてねん」

にゃーん、と、申し合わせたタイミングで、するりとセリーヌの足に猫が寄り添ってくる。

ルイスの黒猫、ジョセフィーヌだった。