身をねじり、逆さまになったセリーヌの頭上を、炎が通過する。

神速の斬撃が、銀色の長剣が、その連鎖の矛先を斬り払った。

途端に、炎がそこから先、進まなくなる。爆裂が途切れ、火の粉が散り消えた。

着地したセリーヌは、一歩大きく踏み出し、再びの疾走に入る。

「!」

少女はたたらを踏みつつも、また二つの火球を浮かび上がらせた。

ズドド
ズドドドドドド!!

二連、複雑な交差を繰り返す炎へ、セリーヌは真っ向から立ち向かう。

そして右手の長剣を――

「はっ!!」

投げた。

若干斜めに傾きながらも一文字、円盤状の残像を軌跡に、長剣が飛翔する。

連鎖爆炎と衝突した瞬間に長剣が弾かれる――

ことはなかった。

歪な炎の蛇は、剣を素通りしたのである。

炎や空気を斬り、物理的に弾くことはできない。

同様に、実体のない炎が、これを物理的に止めることはできない。

あとは衝突時、どちらの瞬間速度が勝っているか。

少女の炎は爆発している。が小さいから数を撃ち込む。

  、、、、、、、、
その個体としての火力が、剣を食い止めるに及ばなかった。