CE-LI-NE

「!! くっ……」

ほとんど直感、しかし実感した危機を優先し、セリーヌは少女への突進をやめた。

真横へ、転がる。

直後、少女が発現させた二個目の火の玉が、セリーヌを追っていた鎖と無人の空間を挟み撃ち、爆裂した。

「あはははっ!!」

と、少女の明るい声も炸裂する。

「かわしたのですね! 気付いたのですね!! お見事! なんて身軽なんでしょう」

「っ」

回避したことで、再び少女までの距離が開いてしまった。

少女の炎は、たしかに火力はない。

が、フーガの魔法で風……いやもっと微細な物質を操ることで、それに殺傷能力を与えている。

さらに、烈火の鎖は方向を切り替えられる。

炎の道しるべにはある程度の精密さが要る。そう読んでいたが、少女の魔法は熟練していた。

動き続けるセリーヌを追尾する技術もそうなら、二個目の鎖を発現させてみせる。これが、三個目、四個目とまだ手管を増やせるのなら考えものだ。

思い出してみれば、今破壊された商店は綺麗に屋根が残って、そのまま落ちている。つまり、柱だけを砕かれているのだ。

最小の労力で最大の結果。

少女の魔法は、決して混血の末に弱まってなどいない。

むしろ、こんな厄介者は初めて見た。