CE-LI-NE

少女の口が、開く。薄く、横へ。

人は、その動きを微笑と言う。

「よく、お気づきになりました」

とそして、その傍らに浮かぶ、火の玉。

「ですが、それがなんだと言うのでしょう」

直後始まる、爆発連鎖、真紅の鎖、その突撃。

「あたしはただ、使命を果たすだけなのですからっ!!」

「っ」

大きく横へ回避したセリーヌの横で、再び炎がレンガを砕く。

数十回、まるで小さく獰猛な魔物に噛みつかれたような音。

その小さな爆発が、すぐに矛先を変えて、着地したばかりのセリーヌへ迫る。

少女が爆発点からセリーヌへ向けて、不可視の導火線を伸ばしているのだ。

「ちっ」

舌打ちとともに、セリーヌは走り出す。

炎を斬ることができなければ、同様に、空気も斬ることはできない。

だが――

「貴様本人ががら空きだ!!」

術者には、人間には、剣は効く。

背後から追尾してくる爆発の音がセリーヌの足を急かさせる。

革の長靴が素早く入れ替わり、レンガを蹴る。

少女まで五メートルない。

セリーヌは剣へ手をかけ――

少女が笑んだのを、見た。