CE-LI-NE

回避の跳躍からしゃがんでいたセリーヌは、ゆっくりと立ち上がる。

十メートル……それだけの距離を開けて、少女は止まった。

「お前の魔法のタネはもうわかっている」

と、叫んだセリーヌの声が、煙とともに空へ舞う。

建物と建物とに反響する。

「先に確認するが、お前はファイアルと、フーガの混血、そうだな」

少女は、答えない。

「お前の火力には限界がある。先の火の玉、あのサイズの炎を浮かべるのが精一杯だろう」

ばき、と、どこかで音がし、崩落音。

どうやら、例の商店の看板が落下したらしい。ガラガランという音が、ひと気の失せた通りに響く。

「魔法のタネは簡単だ。フーガの魔法で風……つまりは空気中の物質を操った。たいていの当たりもつけているぞ。主に、発火性の高い水素と、助燃性の酸素だろう」

ひゅううううう……

そんな、微妙な風の音が聞こえた。

そう、この音が、少女の魔法のタネを見抜く鍵。

「お前はフーガの魔法で、空気中の物質を寄せ集め、道を作った。火の通る、水素と酸素が濃縮されたそれは、導火線となって目標物へ向かう。そうやってお前は爆発を操っていた、そうだろう」