「なっっにが、いぃぃぃぃったいぜぇぇぇぇんたい、なぁぁ――にがど――うしたんだよん!? ジョセフィーヌは!?」

「ルイス!!」

「ぅぐ!?」

「それから御者!!」

炎が吹き出している窓を見上げたルイスの襟首を掴む。

叫んだ。

「この場から早急に退避だ!! 爆死したくなければ死に物狂いで走れっ!!」

ズドドドドドドン!!

と、また炸裂音が轟いた。

炎の吹き出している部屋を縁取るように粉塵が溢れ、次の瞬間、その壁が吹き飛んだ。

木片や石材が、硬く危険な雨となる。

竜車のそばで、御者が悲鳴をあげているのが見えた。

「おい、建物から離れておけっ!!」

叫んだ時、日の光さえ陰らせる白煙の中、部屋のふちまで少女が進んできた。

「ああっ、なんということでしょうか」

と、悲嘆に暮れた声がする。場所もさながら、演劇舞台のようだった。

「神様がおっしゃられました。あたしは、使命を果たさなければいけないって」

ひゅうううう……

そこへまた、あまりにもか細い、風鳴り。