CE-LI-NE

セリーヌは、この緊迫感を知っている。

夜の市街地、ゲリラ戦。

いつなんどき口火を切るか知れない、静寂との駆け引き。

神経を鋭く、そして雪の結晶が如く繊細に研ぎ澄ます。

霜刃の名は、冷静と称される女大佐の地位は、保身や昇進ばかりに心を砕くようなバカどもと違い、まったく伊達ではない。

廊下や踊り場の窓は内側から板が打ち付けられ、明かりはほとんど入っていない。

が、細く差し込むあばら骨のようなラインの数々が、しらしらとたゆたう埃を煌めかせている。

セリーヌは三階へ登り、足跡が、奥の部屋のほうへ続いているのを見た。

足跡が続くのは恐らく、一番奥だろう。そう当たりをつけ、それは当たった。

大人二人、子供ひとり、そしてもうひとりだれかの足跡が、部屋のドアの向こうへ消えている。

外で待っているルイスらからすれば、そこは、正面から一番右上の部屋だった。