厳しく、セリーヌは指導する。

「初手の突きは褒めよう。が、あそこまでの突きは失敗したことを考え、ここぞという時に使え!」

「はい……」

「とっさに後方へ飛んだのはいい機転だった。その判断力を鈍らせるな!!」

「は、はっ!!」

そんなやり取りを、さらに十人ほどセリーヌは繰り返した。

が、すべては彼女の三つ編みが華麗に舞ううちに終わり、彼女から一本を取れた兵士は、いなかった。

セリーヌ・ウォン・ドストロフ――その剣捌きもさることながら、美しい銀髪と冷静な思考から、〝霜刃〟の異名を呼ばれる女大佐である。

王城の頭頂にある巨大な鐘が正午を知らせ、セリーヌは右手をあげた。

「よし、午前はこれまで。午後の訓練は昼食の一時間後とする。各人、自分の剣、銃などの手入れを怠らぬように!」

「「「はっ!!」」」

「では、一時解散!!」

そしてこれが、彼女の毎朝なのだった。