CE-LI-NE





ジョセフィーヌはルイスの膝で丸くなっている。

セリーヌは、竜車に乗る間際に渡された簡易報告書に目を通している。

竜車の外は、ライストの城下、五民族で賑わう街。

フーガ人が歌い踊り、ファイアル人は楽しげに肩を組んで歩き、ドーラ人は店先の品々に目を光らせていた。

アイスラ人は、先に起こった爆発事件の負傷者を手当てするため、魔法の使える者も使えない者もてんやわんやである。

そういえば、脱走したファイアルの少年貴族はなんと言ったか。

バル……ジル……ギル……ドル……たしかそんな響きだった。

捕まえられたなら、じっくり事情を聞くとしよう。

あの少年のおかげで孤児院や劇場地下の暗黒集会を暴けたものの、ものには度合いというものがある。

そう、手加減。やり方。あの少年の力には鞘がない。形がなっていないのだ。

とりあえずあとで、もろもろを考えるためラグストール氏には手紙を書いておこうか。

貴殿のご子息が……なんたら、頭の中で文を連ねていると、ルイスが口を開いた。

「ね~ぇぃセリィ、これってどっっこに向かっているのかなぁ?」

「場所は民宿だ。そんなことも知らずよくついてくるな?」