CE-LI-NE

「おいルイス、行くぞ。いつまでもトカゲと愛を語らうな」

と、いよいよもってクドクド竜に説教を始めた幼馴染みを呼ぶ。

本当なら置いていってもいいが……そのクドクドがあとで自分に回ってくることを考えると、そちらのほうが面倒だった。

「だってっ、あのっ、でかトカゲがっ、だってっ、ねぇっ、たくっ」

ぶつぶつ文句をぼやきながら追いついたルイスが、そこではたと首を右へ左へ。

「あり? あら? ジョセフィーヌは?」

「知らん」

セリーヌも、ジンと別れたところまでしか見ていない。

と、

「あのう……」

先に行って竜車に小竜を結んできたらしい調教師が、頭を掻いた。

「今見てきたら、車の中に黒猫がいまして」

「「……」」

「すごーく気持ちよさそうに丸まってるんですが、……やっぱりその、追い払うべきですよね?」

その顔には、動物を邪険にできないフーガ民族の悲哀が。

「いや、その必要はない」

と、セリーヌは三度目、肩を叩く。

「それは連れだ。コイツのな」

ルイスが騎竜を苦手とし、結局竜車で行くことを予測して先回りしているジョセフィーヌ。

いくらなんでも頭のよすぎる猫だ、と笑いが止まらないのだった。