CE-LI-NE

不安ばかりの調教師の前で、ルイスがゆらりと立ち上がった。

ただでさえぶかぶかのローブである。足取りが覚束ないと、本当にシーツお化けの親戚だった。

「いつつ……」

鼻を特に打ったのか、ルイスは鼻頭をさすった。握り拳を突き上げる。

「っっったくぅ! なんだってぇぇぇぇのさあ君はっ!! 小竜はファイアル人の間じゃ、食!! 肉!! にもなぁぁぁぁるんだぞ! きぃぃぃぃみもっ、も食ぁぁぁべらっれたいかあああ――!!」

とうとう地団駄まで踏むルイスは、しかしセリーヌの言う通りピンピンしていた。

あれだけ騒げれば元気なはずである。

セリーヌは失笑。もう一度調教師の肩を叩く。

「すまないが竜車を出してくれ。いつまでも時間を食ってはいられないからな」

「は、はい」

異常な丈夫さであるルイスに目を白黒させながら、調教師が小竜を二頭、手綱を引いていく。