CE-LI-NE

手綱と鞍を乗せられた、鈍色の鱗。細長い首と三角錘の頭部。小さく退化した前足。対して、二足歩行の後ろ足は、バランスを取るため、そして走るために発達していた。

「ををを、どうどう落ち着いて落ち着いて!」

動物との会話能力を持つフーガの男性調教師が、暴れる小竜をなだめようとする。

しかし失敗。ルイスはポーンと放り出され、顔面から落ちた。

「うあっ!? こっ、降魔師さまっ……!?」

小竜のしでかしたことは自分の失態。

一国の大臣にもなれる降魔師を放り落としては、どんな処罰を食らうか知れない。

青ざめたフーガ調教師の肩を、セリーヌは優しく叩いてやった。

「気にするな。アイツは頑丈だ。頭に文鎮食らったところで死なんのだからな」

「ぶぶ、文鎮……? え、いや、ですけど……」

べしゃっていう音がした。べしゃっていう音が。それなのに大丈夫と?