CE-LI-NE

煙のにおいが遠ざかっていった。ジンが引き返したのだ。

「――ぶはっ」

と、それまでやけに静かだったルイスが派手に息を吐いた。

少し笑ってしまう。

「なんだルイス、息を止めていたのか?」

「だぁぁぁぁって、僕はジンのあ~の煙がニッッッガテ!! なんだよん? アレが薫った瞬ッ間ッにっ! 息を止めたね」

歩きながらずいぶんな時間を……ご苦労なことである。

セリーヌは軍人。自然、戦場の空気は体験することになる。

ここ数年は比較的に平和だが、些細な紛争鎮圧作戦は経験した。

無論、人が死にゆく臭さも。

セリーヌは、ジンのくわえているタバコなるもののにおい程度で嘆くルイスを、だからこそ守らねばと思った。