CE-LI-NE

自分のことを『俺』という女性を、セリーヌはジン以外に知らない。

「ふむ。……そうか」

と、後ろにいるジンにもわかりやすく、大きくうなずいた。

『ガーディアン』の人数は現在、ライスト国内の降魔師の数を上回っている。

努力した者にはそれなりの結果を与えたいセリーヌは、合格と判断した者を『ガーディアン』へ入団させる。

それを繰り返すうちに、護衛団は一個中隊ほどの規模となっている。もっともだからといって、『ガーディアン』は狭き門だが。

大佐という地位にあることもそうなら、『ガーディアン』を組織しているという面もセリーヌが周囲から陰口を叩かれる原因である。

ひどくなれば「セリーヌは『ガーディアン』を使って国と軍を乗っ取るつもりだ」という狂言じみた噂まである。

無論、根も葉もない。

人数に余裕があり、かつ、セリーヌが認めた尖兵。

これに上官が目をつけないはずがない。

少しでも厄介であると思ったなら、今のようにすぐこちらへ要請が下る。

なんでも屋ではないのだが、これも能力を買われてと思えば、仕方のないことだった。