ルイスが立ち上がる。

「でぇぇっも、世界はどう動くかわっからない。そっれこそ、君がいつも言うよーうに」

そしてデスクまでやって来た彼は、長い長い袖から手を出した。男にしては華奢な指に挟まれているのは、一通の封書。

「用がないなら出ぇーていくけど、用があーるから出ていかない。はいこれ、君への指令書」

「お前……そんな大事なものをなぜ、こんな……」

下手をすると、このまま指令書を出さなかったかもしれない。そうなれば、自分へ任せられた仕事がひとつ宙ぶらりんになる。

「だぁってだよぅ、君は忙しすぎんだもーんっ。だーからでっっっきるなら労いを」

「労いは要らん。寄越せっ」

またイライラを感じながら、幼馴染みから封書を略奪。

デスクのペン立てに刺さっているペーパーナイフで一息に、さっと封を切った。

出てくるのは、獅子の軍章が判で押された、指令書。

内容は短く、某所にてひとりの少年を保護せよというものだった。