CE-LI-NE

ジン・クサナギは、なかなかにきれる女である。

肩上で切られたボサボサの黒髪や、せっかく整えても着乱してしまうずぼらこそあれど、知識は深い。

記憶喪失だというのに慌てた様子もなく、目が覚めて状況を把握した彼女は一声、「なら、俺を一時お前さんの軍に入れてくれ」と言った。

軽率なのではなく、それは、なにかを見越した余裕のようなものだった。

剣技については中の中。特別冴えるものはなかったが、ジンは策略家であるらしい。正面切っての戦いでなければ、その中の中程度の腕前で、一回りほど実力が上の者とも張り合えた。

記憶がなく、身寄りもない。しかし優秀さは評価できる。

ゆえにセリーヌは彼女を『ガーディアン』へ特別枠として招き、傍らに据えている。

ただ、もしも万が一、彼女が密偵や暗殺者であるなら、容赦なく処分するつもりである。

あらゆる意味でやりやすいよう、直属にしているのだ。