どん、とわざと音を立てて、セリーヌはまたひとつ判を捺した。少し八つ当たりも入っていた。
「ライストはなルイス、魔法も、民族性も、ただ特殊なだけだ。だから生き残っているし、だから四方から狙われている。魔法でも、民族性でも劣る私達ができるのはなんだ? 努力だ。ファイアルに負けぬための体力、アイスラに騙されぬための知力。私はライストの誇りで努力している。いや、努力せねばライストは滅びるんだ!」
どん! とまたひとつ、強く、判を捺す。
ルイスは、やれやれとばかりに首を左右へ。セリーヌとお揃いになった三つ編みが、ソファーの背もたれで揺れた。
もともと、ライスト人――降魔師には、降魔と対になる除魔の力があった。
が、十五年前の世界的事件により、除魔の力がライスト人から失われた。
降魔師――ライスト人が『魔法覚醒者』へ対抗できなくなった時代の、幕開けである。
ルイス自身、それは深く理解していた。
ライストは、余裕を持てる民族ではないと。
「セリィセリィセリィ、今の話、もーう千回は越ぉえてるよ? 一日一度は聞っくからねーぃ」
「ライストはなルイス、魔法も、民族性も、ただ特殊なだけだ。だから生き残っているし、だから四方から狙われている。魔法でも、民族性でも劣る私達ができるのはなんだ? 努力だ。ファイアルに負けぬための体力、アイスラに騙されぬための知力。私はライストの誇りで努力している。いや、努力せねばライストは滅びるんだ!」
どん! とまたひとつ、強く、判を捺す。
ルイスは、やれやれとばかりに首を左右へ。セリーヌとお揃いになった三つ編みが、ソファーの背もたれで揺れた。
もともと、ライスト人――降魔師には、降魔と対になる除魔の力があった。
が、十五年前の世界的事件により、除魔の力がライスト人から失われた。
降魔師――ライスト人が『魔法覚醒者』へ対抗できなくなった時代の、幕開けである。
ルイス自身、それは深く理解していた。
ライストは、余裕を持てる民族ではないと。
「セリィセリィセリィ、今の話、もーう千回は越ぉえてるよ? 一日一度は聞っくからねーぃ」

