CE-LI-NE

「努力してるよねぃ、セリィは」

くる、くる、と円ステップを踏みながら、ルイスがデスクの向こうへ回り込む。

ジョセフィーヌも一緒に、まさかの二足歩行でくるりくるり。

一人と一匹はそして、客用のソファーにぼすんと座った。

「大学の、いんにゃいにゃ、むっかーしっからそうだった。努ッ力して努力してっ、ガッムシャラんに努力して……」

「ほかの民族に比べ、ライスト人は魔法の力に優位性がない。当然だろう」

と、セリーヌは答えた。目を通した書類に、判を捺す。

「体力はファイアルに敵わず、知性はアイスラに劣り、技術はドーラに遅れ、芸ではフーガに及ばない」

「……」

「魔法とてそうだ。ライスト人は降魔しかできん。降魔術そのものは戦にも、医療にも、工業、芸能にも役立たん」

「でも。僕らがいるから魔法は絶えない」

「ああ。だが、一度覚醒された他民族の魔法は、降魔を凌ぐ。『ガーディアン』が生まれたのは降魔師護衛のためだ。なぜ護衛がいる? それは降魔術がどれだけ特殊、価値ある魔法だろうと、最弱だからだ」