CE-LI-NE

ルイスの言葉はやたらに間延びする。それが仕方のないことだし、長い付き合いから慣れてもいるが、先を焦らすような口調には時々イライラもした。

「それが、だから、なんだ?」

先端まで髪をまとめ終わったセリーヌは、引き出しを開ける。中に入っているヘアゴムを取り、くるくると髪を縛る。

「んふふふ~」

と、鼻唄混じりにルイスが見上げてきた。首をかくり、真上へ向けてくる。

「この劇場、それから孤児院ねぃ、黒ぉ~い噂もあぁっっったりするんだよぅん? たとえば不法取引とかぁ、密売とかぁ、あーとは……」

「密教の集会、とかか?」

「をろろぉん?」

知ってるのぉ? とばかりに、ルイスの目がくるりと開く。

こういう、彼の鼻を明かすような感覚が、セリーヌは好きだった。だから、情報が入ってくる役職は辞められない。

「当然だ。私はそれなりの地位にいる。知れることも多い。まだ公ではないが、焼き払われた二つの現場の地下捜査も、我ら『ガーディアン』が行っている」

「あ~あぁ、仕事が早いなぁ~ン、セっっリィはぁっ」

悔しそうに書類を投げ、肩をすくめるルイスを、ちょうど机に飛び乗ったジョセフィーヌも真似した。どこまでも器用な猫だ。