CE-LI-NE

「初めの問いと、残り二つの問いは、連結して答えられるな、うん」

無言で促すと、彼女は続ける。

なんとなく、その『問い』に答えるために来たのではないか。そう予測もした。

「俺はな、この世界の人間じゃあない。これは本当だ」

「ならばなぜこの世界にいる。意図的なのか?」

「ああ、意図的だ。俺ぁね、ある男を探してるんだ。そいつは昔、すげえ昔、俺の前からいなくなった。俺のせいでな。だから探してる。俺のいた世界を越えて、ここや、それ以外の世界もな」

いろんな――という単語が、にわかに信じがたい。

が、ジンが資料室で見せた、迷子が親を探すような必死さを思うと、やけに合点がいった。

「世界を越えて……か。それを信じる証拠は?」

「ふむ。こないだ俺が出した火じゃダメか? あれはこの世界の規則にはない魔法だったんだがな。ああ、さらに言えば――」


ジンがドアを閉め、少しの間を置いて、開いた。

「これが、なによりの証拠だろう?」

そのドアの向こうは廊下ではなく、白だった。

霧のような水のような、あるいは光のような、白い空間だった。