CE-LI-NE

さらに南のファイアルでなにやら、同じ組織かは判別できないが、よからぬことが起きているらしい。

噂と、些細な情報しかまだ入っていないが――魔王復活を企てる何者かがいるとの話もある。

まったくかんばしくない。

せめての救いは、東に現れていた汚竜という突然変異種を、ドーラの貴族、そしてファイアルの青年剣士が討伐したことぐらいである。

保護した少年も、見立てでは精神を安定させるのにしばしの時間がかかる。

失態なのか不幸なのか不運なのか、それとも神のいたずらか、セリーヌは苦笑する。

やることは、いつまで経とうと片付かない。

「よぉ」

と――

「邪魔してもいいか?」

戸口横に、彼女が現れた。

軍の探している不審人物――ジン・クサナギである。

彼女はあの後、自分と少年、そしてリリアを地上へ運んでから姿をくらましていたのだ。

これが、「なにかしらの情報を盗んで逃亡した」と叫ばれた。

名目では、無許可離隊への処断のため、指名手配されている。