CE-LI-NE

「さて……『悪』とは定義しがたいものでね」

悠長な足取りで通路から入ってきたジンは、演説者のように腕を広げる。

「実行者がそれを『善』であると定義したなら、少なくとも実行者にとっては『善』だ。『悪』と見なされるこうも、それが『善』に働く世界では『善』だ。」

ひょいと、肩がすくまる。

「かつてこの『善』をなそうとした世界があったが、……ふむ、おもしろくないことにそれは、ファシズムとなって潰えた。それを踏まえると、この世のなにが『善』か『悪』かなど、一個人の知ったこっちゃない」

そこでジンの目がこちらを捉えた。

「続けろと」と言っているのだろう。

「お前の父も、神も、お前にとっては支えであり生きる光だったろう。が、それによってお前以外のものが苦しみ傷つくのなら、それは『善』とは呼べん。国においての『悪』だ」

ひゅううう……