CE-LI-NE

セリーヌは、止められなかった。

空気中の物質が少女の意図で不可視の道しるべとなり、それが爆炎の連鎖となって走るのを。

止められなかった。

少女が遣わせた紅い殺意は五条。それらが壁際でふらつく男の両肩を、両足を、そして首を吹っ飛ばすまでは、三秒だった。

発火、連鎖、命中――それぞれで三秒だった。

男の絶命と共に、今度こそ魔法陣は停止する。

「くっ……」

ようやく、セリーヌは立ち上がった。

背中から出血し、状況は切迫している。このままここで倒れているわけにもいかない。

血の花となり早くも水分不足で萎れ始めている男のそばで、少年が震えている。

同じく、あの少女も。

震えていた。


「神様……神様は、いない……あたしの……神様……いない……いない……」

泣きながら、神経の糸が切れたように膝を突いて。

震えていた。

嗚咽は天井に当たり壁に当たり跳ね返って、結局は滝の音に打ち消された。