CE-LI-NE

「まあ、よいだろう」

心中で「勝ったな」とほくそ笑むセリーヌは、ジョセフィーヌがデスクへ集めてきた書類を手に取る。

何枚かめくってみてわかったが、あれだけ雑然と散らばっていたのに、書類はページ順、向きも揃えられていた。

ルイスはもともと、国立大学を卒業した男である。事務能力は自然、高いのだった。

とんとんと書類の端を合わせ、セリーヌは訊く。

「それでルイス、今日はなんの用だ? なにか重要な話か?」

「やっだなーセリィはっ、仕事人間なんだからっ!」

市場で野菜でも値切る主婦のように空気を叩いた彼は、くるりと背を向けると、髪を指差した。

「三つ編み、やって?」

「……なに?」

「だから三つ編みっ。ほんとーうは朝お願いしたかったんだけどねぃ、君の朝は早いかラ゛!?」

降魔師の後頭部に、ライスト軍章の獅子を象った文鎮が命中した。

鈍いゴッ、という音が、蹲って悶えるルイスの痛みを物語っている。