CE-LI-NE

男のオクターブが上がったのを聞いて、セリーヌは確信した。

少女の慕う『神様』は、存在しない。

あの男が、すがるもののなにもない少女を利用するためにでっち上げた、偶像なのだ。

あのアイスラ人が薬なり毒なりでリリアの精神を伽藍にした。

いや、もともと、リリアは父の一件から壊れかけていた。

ほんの些細な一押しが、決めてだろう。

そこへ、あの男はまるでそれが救いであるかのように、ありもしない偶像を植えつけた。

憐れである。

父は逮捕され、母は失踪し、少女自信は地獄を味わったのだ。

孤独と凌辱、暴力と飢餓、嘲笑と侮蔑、負の坩堝が、少女の半狂乱を全狂乱へと加速させる。

それを利用され、見つけたはずの光を今、失おうとしている。

隊を指揮する立場のセリーヌにはわかる。

今の男に、少女を夢見させるだけの口上は、紡げない。

「リリア!!」

とやはり、男が発したのは犬を殴るような声だった。