立ち止まり、振り返る。
それは、たった今、女を突き落とした下水のほう――セリーヌが照明を辿ってきた道から、聞こえる。
やがて、音源の姿が現れた。
ちぎれた包帯、煤まみれのワンピースを揺らして、あの少女が。
「おお、リリア!!」
と、男が歓喜の声をあげた。
少女も似たような反応を取る――ように見えたが、花が萎れ死ぬように、それは一瞬だった。
「あ、の……」
少女はよろよろと歩いていく。右手が、左肩を押さえていた。
セリーヌの真横を、先ほどまでの執着心を欠片も見せず、無頓着に通り過ぎる。
あらわになっている肩から胸にかけては、裂傷が強引に焼き塞がれていた。
なんという、精神力だろうか。そこまでをしてまだ耐えられる……それは、少女がその傷以上の地獄を生き抜いた証拠だった。
男の前まで進んだ少女は、その前でぺたりとしゃがみ込んだ。
セリーヌからは背中しか見えない。
少女・リリアは俯いたまま言った。
「神様の、使いの、方……」
「ああ、なんだね」
「神様に……神様に、逢わせて、ください」
「なに?」
それは、たった今、女を突き落とした下水のほう――セリーヌが照明を辿ってきた道から、聞こえる。
やがて、音源の姿が現れた。
ちぎれた包帯、煤まみれのワンピースを揺らして、あの少女が。
「おお、リリア!!」
と、男が歓喜の声をあげた。
少女も似たような反応を取る――ように見えたが、花が萎れ死ぬように、それは一瞬だった。
「あ、の……」
少女はよろよろと歩いていく。右手が、左肩を押さえていた。
セリーヌの真横を、先ほどまでの執着心を欠片も見せず、無頓着に通り過ぎる。
あらわになっている肩から胸にかけては、裂傷が強引に焼き塞がれていた。
なんという、精神力だろうか。そこまでをしてまだ耐えられる……それは、少女がその傷以上の地獄を生き抜いた証拠だった。
男の前まで進んだ少女は、その前でぺたりとしゃがみ込んだ。
セリーヌからは背中しか見えない。
少女・リリアは俯いたまま言った。
「神様の、使いの、方……」
「ああ、なんだね」
「神様に……神様に、逢わせて、ください」
「なに?」

