CE-LI-NE





セリーヌは崩折れた。

石床に剣を突き、かろうじて膝までで耐える。

神速の刺突、〝霜刃〟の反動が、ただでさえダメージを負っている体にのしかかった。

この平和の拮抗にある世界で、どれだけの人間がまだ記憶しているか、〝霜刃〟の由来。

それは、本来彼女が血肉を踏み越え鍛え抜いた、必殺剣技の名だった。

冷徹なる利剣――心と意識を凍らせる刃――霜の降るような静けさ、それの溶けるような四半秒の殺気――

女にして大佐を、『ガーディアン』団長を務めるのは、断じて伊達ではない。

彼女が疾走の時に腕を後ろへ流すのも、この突進術を極めた名残だった。

肩で息を整えたセリーヌは、立ち上がった。正面から男と、少年を見据える。

仲間が、一瞬で落ちた。さすがの男も、たじろいでいた。

「さて」

一歩進めば、男も一歩下がる。少年の手を引いて。

「お前がその降魔術の魔法陣でなにを企んでいるかは知らん」

一歩進めば、

「だが」

一歩下がる。

「よからんことなのは、明白だな」

そのいたちごっこをさらに数回繰り返した時だった。

足音が、ひとり分、増えた。