CE-LI-NE

急停止と同時に、セリーヌは振り返る。

女の開かれた手からは、大蛇のように霧が繋がっていた。

   フレイムチェーン
少女の 炎 鎖 もそうなら、この女の霧も動きは変幻自在か。もっとも、この女のほうが細かな技術に長けているようだが。

「……あの小娘よりうわてか……」

あえて称賛しても、ロングコートの女は無表情である。

背後、陽炎のように晴れた霧の向こうから男が言ってくる。

「彼女を侮ってもらうのは困りますねぇ。あの娘のようにバカ一直線ではないのです。アナタの剣も、彼女には効きませんからね?」

言葉の意味は、予測がついている。

「人為的に、痛覚を潰したのか」

「ほぉ、さすがの洞察力と称しましょうか」

男は、よく喋る。恐らくだが、この男があのハザーランド嬢の崇める『神様』だろう。

人をコケにした口調から、そう推測する。

「薬にも詳しい彼女のお陰で、私も実に楽な仕事ができましてね。あの娘に催眠をかけてやるのも、この少年を手玉に取るのも容易かった」

「そうか。催眠か」