CE-LI-NE

「ぐっ!?」

セリーヌは異臭を鍵――剣を抜いて後退した。

が、着地の反動と同時に臓腑から熱いものが込み上げる。

「ご……っ」

血が、口から飛沫になった。

小雨のように石の床を叩いた赤を見て、瞠目する。

自分は今、なにをされたのか。

あの霧……そう、霧である。あれが原因だ。

「くくく……」

と、フードの男が笑っている。わざとらしく、わざとらしく笑っている。

優雅な足取りで少年のもとへ進んだ。

「ご明察な〝霜刃〟ならばお気づきでしょうな? 彼女はそう、アイスラ人。薬学、ひいては毒をも操る女なのですよ」

と、男の言葉を証明するように、女が無言のまま突進してくる。

その右手が突き出され、霧が炎もかくやと迫った。

そう、青い、毒霧である。

一瞬嗅いだだけで喀血した。もし肺いっぱいに取り込んだらどうなるかしれない。いや――確実に、死ぬ。

セリーヌは大きく横へ走る。一歩一歩が、胴にまで並々ならぬ震動を伝えてくる。が走った。

霧から逃れつつ――巨躯せんで、フードの男を目指す。

しかし、

「! ちっ!」

頭上を竜のように踊った霧の矛先が、両者の間に割って入った。