CE-LI-NE

ルイスの黒い瞳は、まるで失われた闇の精霊の力を宿しているようで、深い。

それがいたずらっぽくキラリと光るのを、セリーヌはだれより多く見てきた。

「あっの下着、城下のメインストリートにあるブランド店のだーよねぃ? 加えて、ざーんねーんながら、セリィに恋人はいな~いっ。じゃーあ、な~んであんな下着をぅ? そーう考えたらすーぐわかっちゃうよーん」

セリーヌは今一度、こめかみに指を当てた。ぐにぐに。

「あー、わかった、わかったルイス、正解だ」

どうにも、ルイスにはセリーヌ・ウォン・ドストロフという自分が見透かされているようで、おもしろくない。

だから精一杯、抵抗する。

「なあルイス、ある報告書を書こうと思うのだがな」

「う~んんん、ホーコクショかい?」

「そうだ」

セリーヌは左手の指を順々に折っていく。

「過去何件起こったか、指の数では足らんことなのだが……とある降魔師のセクハラ発言、及び室内の無断捜索について、厳粛な処罰をだな」

「セリーヌさま、全っっ力で謝るのでやめていただけませんでしょうか」

ころりと態度を変えた幼馴染みの足元では、黒猫が一緒になって頭を下げていた。笑ってしまう。