CE-LI-NE

男が、右手を掲げ、パチンと指を鳴らした。

ちょうど、セリーヌを挟んで反対側の柱の陰から、もうひとりフードでの人物が現れる。

その傍らに、少年が捕らえられていた。縄で縛られてるようには見えないが、両手が後ろへ回っている。手錠を課せられているのかもしれない。

が、誘拐された身にしては、ずいぶん表情が乏しい。

どこか脱け殻のような佇まい。

セリーヌは幾ばくか少年を観察し……自分の視力を呪った。

少年の口が動いている。ブツブツ、ぶつぶつと、呟いている。何度も何度も同じ動き。

少女の半狂乱を思い出す。神様神様と繰り返していた少女を考えれば、強引か、あるいは非合法な洗脳が行われていても、おかしくはない。

今の少年はつまり、フードの男らが玩具と化しているのだ。

操り人形、とでもいったところか。あれでは救出したところで、まずは病院に送らなければならないだろう。

セリーヌは改めて、己のそもそもの失態を悔いる。