CE-LI-NE

深くしゃがみ、斬撃と高所からの着地の衝撃が過ぎるのを待っていたセリーヌは、ようやく立ち上がった。

すぐ傍らに倒れている少女は、肩口から大量の紅を流し、震えている。

その手が、セリーヌの足を掴んだ。

「セリー……ウォ、ドスト……フ……っ、ご、ぼ、ほっ、ぉごほ……っ!!」

恨みの声は、血と変わって吐き出される。

セリーヌは、その手を振り払いはしなかった。

ただ、言ってやる。

「おい、お前……お前は、なにをした?」

「っ、ぼ、ごほ……セリーヌ゛……!!」

「……私は、お前のように自分の望まないことが嫌いだ。だから力をつけた。力をつける努力をした」

びしゃ、という音がし、セリーヌの長靴が濡れた。

もともと黒塗りの革である。見た目は、変わらない。

「お前はどうだ? 自らなにかしたか? 泣いて、わめいて、自分の要望ばかり主張して、努力はしたか?」

「あだ……し……は……!!」

ズボンの膝を掴み、太ももを掴んだ少女が、這い上がってくる。

血塗られた唇も喉もなまめかしく見えてしまうのは、フーガの性か。