CE-LI-NE

セリーヌは努力をした。

ライストは、降魔師以外に取り柄がない。

降魔師として覚醒できなければ、ただの凡人に過ぎない。

だから努力した。

ファイアルに組み敷かれないために武術を磨き、アイスラに騙されないために勤勉した。

そして、軍階級を登った。

そのセリーヌを快く思わず、貶めようとした男がいた。

元ライスト国軍大佐、バルク・ハザーランド。

現在地下牢獄にて監禁されている男だった。

噂にしか聞いていないが、逮捕に関連し、ハザーランドが裏で行っていた黒々しい部分も明かされ、一家は離散したらしい。

ハザーランドの家族は、妻に、娘がひとり。

そのどちらも、消息は一切掴めていなかったが――

たしかなのは、ハザーランドはファイアル人であり、妻はフーガ人だったということ。

ライスト人以外の人間がライスト国軍に所属するのも、中心都市であるライストでは、珍しいことではない。

フーガの調教師が軍属として小竜を馴らしているのが、よい例だった。