ビクビクしていると、ゆっくりと響夜がゆっくりと口を開いた。
「お前さぁ、あんな問題もわからねぇの?」
声は怒ってもないし、苛立ってもないけど明らかに呆れていた。
「…す、数学は…苦手なんです…」
怒ってないと解っても矢っ張り怖くて、俯いて小さな声で話す。
「ふーん?だったら誰かに聞けばいいだろう?」
「き、聞ける人が居ないんで」
「あ?」
今までの声とは少し変わった少し苛立った声。
慌てて俯いていた顔を、慌ててあげて響夜の方を見る。
無表情でこちらを見ていた響夜が微かに微笑を浮かべる。
「やぁっと、こっち向いた」
そう言って、子供のように笑う響夜は可愛いかった。
改めて、響夜の顔を見ると整った顔立ちだった。
「ん?卯月?どうした」
響夜に軽く見ほれていて言葉を発することを忘れていた。
響夜に名前を呼ばれてはっとして言葉を発する。
「え、なんでもないです…よ?」「ははっ何で疑問系?」
気づけば数学は終了の5分前で、みんなは片づけ始めていた
「卯月。次分からなかったら俺に聞けよ?」
そう言って響夜はそっぽを向いて片づけ始めた。
チャイムが鳴り響けば、みんなは慌ただしく席を立つ。
あの人って、実は良い人……?
「きょーや!トイレ行こうぜ!!」
「おー」
そんな事をぼんや
り思っていると
響夜の友達が声をかけた、
響夜は立ち上がって
一息つくとクルリ
と180度回転して
私を見下ろす。
キョトンとして
首を傾げる。
「……卯月、あの、さ」
「うん?」
「――……「響夜ーっ」
響夜の声はかき消され
そのまま去っていった。

