茅颯の通う学校には、二つ不良グループ存在する。



一つは、扇堂 響夜 (せんどう きょうや)を筆頭にする、グループ名は響(ひびき)



もう一つは、龍神 煌(りゅうじん こう)を筆頭にする、グループ名は龍(りゅう)




どちらも名乗ったのではなく
一般生徒が勝手につけた呼び名らしい。




そのリーダーが何の因果か二人とも同じクラスになってしまった。
しかも席も近いとなった。



――その間の私は空気が重いよ。




私は男子があまり好きではなく軽い人見知りだったので、あまり会話をすることがなかった。



郷奈は、小学校の頃からの煌と心友らしい。
なおは、煌の幼なじみだ。





……あの二人がこの席だったら何の問題もないのに……。




再び、はあと小さく溜息をつく。




「じゃあ、ここは簡単だから……今日の番号の人にやってもらおうかなぁ……」



ふと今までノイズ混じりの声が急に鮮明に聞こえた。



慌てて黒板の文字をみて考える



分からないよ。





助けを求めて郷奈を見る。
気づかずに、ノートに落書きをしている

なおをみると、こっそりマンガを読んでいる。





――気づいて下さい。






教室に妙な沈黙が流れる。



嗚呼、もう解らないよっ



泣きそうになっているとき、隣からボソリと声が聞こえた。




「x=15 y=6」





隣をみれば頬杖をつきながらこちらを見ている、響夜と目があった。



「卯月ー?解らないのか?」

先生が不思議そうな表情でこちらを見ながら首を傾げる。



「あ、っと…x=15でy=6……」



「うん、良いな。あってるよ」





ストンと着席をして再び響夜を見る。



「あ、の、答え教えてくれて有り難う……御座います……」



やっとのことでそういい終えると、暫くの間響夜は無言でこちらを見つめていた。




――恐いよ……。