ソフトクリームを買ってつつじを待たせた場所に戻ると…

「いねぇ…」

あれ?オレが場所間違えたのか?つつじじゃあるまいし…

背中にいやな汗が一筋流れた。

「つつじ…!」


それから、オレは走りつづけた。
ただやみくもにつつじのいそうな場所を探したが、何しろここはフランスだ。
オレは水族館から出れば、つつじの別荘に帰るのがやっとくらい。

でもそんなこと関係ない。
オレが迷ったって、つつじが助かればそれでいいんだ。
オレはどうでもいいから…つつじ…





「くそッ…!どこだよ…」

あれからどれだけたったのか…
もうオレにはどこに何があるかもわかんねぇ。
つつじの別荘に帰るなんてのは絶対に不可能だろう。

どうすれば…


その時ふと、古い倉庫のような建物が目に入った。

オレは急いで近くまで向かった。

途中、見たことのあるような、スーツの若いフランス人が見えた気がしたが、今のオレはとにかくつつじのことしか考えてなかった。


確信はなかった。
でもつつじがいる気がした。

オレは思い切り扉を開いた…