…10年前――…

当時まだ15歳だった私を雇ってくれたのは…
美波 春樹様…

そう、お嬢様のお父上様でした。



10歳の頃に父を亡くし…
父を亡くした母は重い病に かかってしまった。

私が中学を卒業するまでは、父の兄が必要最低限の仕送りをしてくれた。

しかし、元々日本人との結婚に反対していた父の家族は、私の義務教育が終わると、ピタリと仕送りをやめた。

母は一人っ子だったので兄弟はなく、親は2人とも亡くなっていた。


私は中学を卒業すると
1人で2人分の生活費と母の治療費を稼ごうと仕事を探した。


しかし、世間は冷たかった…。