ヤザキ カケル
僕―…矢崎 翔…は

平凡な日常を送る男子高校生。
特徴なんて…クセのある茶色の髪ぐらいしか思いつかない。



「あ!やべっ、今日は理穂と約束あったんだ」

慎吾は持っていた
ワックスと鏡をいそいで
鞄にしまうと

「じゃあなっ!また明日」

と言って足早に去って行った。

まったく、彼女との
約束ぐらい覚えとけよ。

慎吾の彼女、理穂ちゃんは
気が強くて慎吾はいつも尻引かれている。

何だかんだで
1年も続いているけど。



「僕も帰るかな…」


放課後でも
騒がしい廊下を通り抜けて
昇降口までのんびりと歩き始めた。