ライダーを引退して。

悔いが残らないかといえば、そうではない。

続けていれば。

今年はゼッケンナンバーが『1』だった。

そして今年もチャンピオンを狙ったに違いない。



でも。

自分の置かれている環境を考えれば。

この選択は間違ってなかった、そう思う。



辞めてから、いつかは絶対にしようと思っていたライディングスクールを開いた。

レースのない日に個人的に教えるんだけど、これが案外好評で。

肩書って大きい。

改めて思った。



そして光や祥太郎をはじめ、将来ロードレースを背負っていく人材を育てる。

賢司さんが俺を育ててくれたように、俺もまたライダーを育てる。

夢は世界に羽ばたくライダーを育てる事。

その一方でお店も大事にしたい。





家の事は。

真由がしっかりしてくれていて、本当に助かる。

いつか…

お返しが出来たらいいんだけど。

何がいいんだろう?

…なんて、仕事の合間に考えている時が結構幸せだったり。





真由がいてくれるから俺はキラキラ輝いた毎日を送る事が出来る。



出会えてよかったよ、本当に。



嫌な事も辛かった事も君の存在で帳消しされたよ。

君と出会えた事は。

神様から俺への最高のプレゼントだよ…