頭フル回転させて、言うことを考える。

「あ…あの…」
「…どうしたの?」
「えっと…あっ…お弁当!」
「お弁当?」
「うん。お弁当…好きなのどうぞ」

ずいっと楠木くんの前にお弁当箱を差し出した。
楠木くんはちょっとびっくりしてる。

あー恥ずかしいかも。

でも出した手前引っ込めることなんてできない。
早くなんか取って!
卵焼きでもウインナーでもゴボウ巻きでも!
いっそのことお弁当箱ごと取ってっていいから!!

そんなこと考えてたら、フッと楠木くんが笑ってゴボウ巻きを摘まんでいった。

「うんっうまい。サンキュ」

キラッキラな笑顔で言われて、ドアの向こうに走り去っていく。

か……かっこいい。